女の嫉妬/男の嫉妬

ただいま引き続き来週のアントレ勉強会に向けて、ケースと格闘中。これが結構な量。本業の授業のケースより断然多い(笑)。AからCまでで40ページです。大半はRBS社のビジネスプラン。
Walnut Venture Associates (A)-(C): RBS Group Investment Memorandum (HBS9-899-062)
で、当分終わりそうもないので気分転換。

ローマ人の物語 (24) 賢帝の世紀(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (24) 賢帝の世紀(上) (新潮文庫)

「至高の皇帝」トライアヌスのお話の所なのだけれど、彼の奥様についての塩野節がかなり興味深いので引用しときます。まあ、それだけのエントリです。

 妻のプロティナも南仏ニーム生まれだから、初の属州出身の皇后ということになる。教養が高く賢明な女だったが、美人でも派手でもなかったので、羨望や嫉妬の対象になる心配はなかった。皇后ともなれば元老院議員の夫人たちの上位になるが、女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。(p.61)

男は多分、教養や頭の良さとか身体能力とか、とにかく他人の秀でたところには憧れとともに嫉妬を覚える生き物だという気がするけど、女性はそうじゃないのか。面白い。

イノベーションとマネジメント

MBA最新テキスト アントレプレナー・ファイナンス―ベンチャー企業の価値評価とディール・ストラクチャー

MBA最新テキスト アントレプレナー・ファイナンス―ベンチャー企業の価値評価とディール・ストラクチャー

来週金曜日の第2回アントレプレナーファイナンス勉強会*1に向けた準備の中で、リチャード・スミス教授の印象的なフレーズに出会った。

 最後に、多くの場合、アントレプレナーの担う役割とベンチャー企業の経営者の役割を分離することは可能であると述べておく。イノベーションによって付加価値を生み出す事業機会を見いだす能力と、その事業機会に投資することが目的のベンチャー企業を経営する能力とを兼ね備えた人材は、そもそもまれである。最初から入念に計画しておけば、単にアントレプレナーが日常業務の管理に不向きな理想家であったという理由だけで、ビジネスが失敗に終わる事態を確実に避けることができる。(p.19-20)

この短いフレーズから、「イノベーションとマネジメントの能力を兼ね備えた人材はそもそもまれである」という考えから、かなり色々なことを思いついた。とりあえず後々の検討のためにメモしておこうと思う。

  • 投資家の観点からすれば、起業家が「イノベーション」を起こす才能を持っているかどうかに加え、彼もしくは彼女を支える右腕に卓越した「マネジメント」の能力、経験が備わっているか否か(あるいは起業家が双方を兼ね備えているかどうか)が重要な投資判断の基準の一つになる。
  • もし優れた「イノベーション」の可能性は存在しているが、「マネジメント」が弱い場合、これを補う人材を外部から登用してくることが可能かどうか、これが次に考えるべきことになる。
  • イノベーション」と「マネジメント」の視点はベンチャーだけでなく、規模の大きな企業でも重要。①例えば、各事業部門において、リーダーが両方の機能を兼ね備えているか、リーダーシップ・チームが互いに補い合える形になっているかどうか、が事業の成否を分ける一つのカギになる。②企業のトップマネジメントにおいても同じで、ただただ突飛もない(ように見える)innovativeなアイデアを生み出す能力しか持たないトップと、イエスマンばかりのトップマネジメント・チームで経営陣が構成されている企業は「マネジメント」の欠如によっていずれ崩壊する。ここでも両者のバランスが必要。
  • 大企業ではさらに、「イノベーション」機能はより現場に近い組織に存在していることが多いのではないか。その場合、上位の優れた「マネジメント」がうまくボトムアップでアイデアを吸い上げていくことが、両者のバランスを維持・向上するカギになるのかもしれない。

*1:神戸大からのvisitign scholarである忽那教授(cf. ブログ)にご指導頂きながら、ドラッカー日本人学生で取り組んでいる勉強会です。

to U

最近はまって1日に3〜4回は聞いているBank Band with Salyuの「to U」。

to U

to U

人の苦悩や迷いを受けとめ、肯定する桜井節が炸裂している。
リリー・フランキーの「無理すべし」と正反対のメッセージだけどこれも心に染み入ってくる感じ。

悲しい昨日が 涙の向こうで いつか微笑みに変わったら
人を好きに もっと好きになれるから
頑張らなくてもいいよ

沈んだ希望が 崩れた夢が いつの日か過去に変わったら
今を好きに もっと好きになれるから
あわてなくてもいいよ


無理をして自分の限界を広げる。
今の自分自身を受け入れ、肯定する。


「無理のススメ」やニーチェと、桜井和寿を並べて眺めてみると、人間にはきっと両方が必要なんだなと思う今日この頃。

アメリカってやっぱ(かなり)いい加減?

と、成功を収めたイベントでしたが、裏ではむかつくこともいくつか。

第一に、開始1時間前に集合してset-upしようぜ、と前日にも時間を確認していたpresidentが来ない。電話したら「今(自分の担当分の)買い物してる」という呑気なお返事。おいおい、と。普通、集合時間の前までに買い物済ましとくんじゃないの?少なくとも日本人の「普通」を適用するならば。目下、presidentとvice-presidentの2人しかマンパワーがないギリギリの想定をしていたので、これで一気に30分時間をロス。こうなることを想定していなかった僕も甘いけど、30分遅れる方がおかしくない?と思わざるを得ない感じ。

第二に、事前にメールで部屋とAV設備の予約をしてて、ちゃんと"You got it"みたいな返事が来たから安心してたのに、①違う部屋が予約されていた上に、②AVのset-upが出来てない。オフィスの人も帰っちゃってドアが閉まってる。いや、ほんま最悪ですよ、これ。うっかりするとMovie Night w/o Movieですよ。結局、色々調べまくると別の建物にcomputer関係の総まとめのオフィスがあることが分かり、そこに電話して人を派遣してもらい、なんとかなりました。が、presidentの大遅刻に加えて一人でブチ切れ寸前。

第三に、昼間に直接店舗に行って20人分サンドイッチを予約していた店が昼シフトと夜シフトの連絡ミスor双方の怠慢で全然用意できてない。どころか、予約の事実すら消滅してる。日本じゃ(たぶん)ありえない。さらにおどろくべきことに、店側からは一言も「申し訳ない」という言葉が出ない。一瞬、「アメリカ人ってもしかしてただのあほ!?」とまじで思ってしまった。予約の際に見積もりまでしてもらっていたのに。いや〜、あきれて腹も立ちませんでしたよ。結局、それからすぐに作ってもらって、約1時間半後に回収。申し訳なさからか15ドル割り引いてくれた。

日本ってかなり「まともな」国だと改めて思った、そんな一日でしたよ。

sort of 大成功

今日は約1ヶ月前からDSSA(といっても、みんなどんどん辞めてしまってもう4人しかいない)で準備をしてきたDrucker Movie Night。ドラッカーがクラスで自分のコンサルティングの考え方について講義し、その後学生とディスカッションする内容のもの。なので今回は題して"Drucker on Consulting"。

元々去年のDSSAもやっていたものなのだけど、何人かの学生から「ドラッカーも亡くなって、僕らにはreal Druckerに触れられる機会がまったくない」という嘆きの声が上がっていたことから今年もやろうということになった。今セメスターの間にもう一回、11月に今度はドラッカーについていろんな人(ジャック・ウェルチとか)が語っているインタビュー集を題材に開こうと思っている。

で、そんなことは半ばどうでもいいのだけど(笑)、この記事を書きたくなったのは、今回のイベントが予想を大幅に上回る成功(のようなもの)だったからだ。やる前は一体どれだけ需要があるのかな〜なんて半信半疑で、とりあえず出来るだけ早めにアナウンスだけはしようと他のメンバーのお尻を叩いて準備を進めてたのだけれど、フタを開けてみるとなんと40人もの人が参加してくれた(ちなみにうちは学生全部で300人以下しかいません)。さらになぜか他学部からも参加者が。おかげで、20人しかRSVPしてくれてなくて、せいぜいマックス20人だろうと思ってその人数分くらいの食べ物とか飲み物しか用意してなかったので、その二倍も人が来るとちょっと裏方は大変だった。でも喜んでもらえたようなので嬉しい。

プラス、DSSAに今学期から参加してくれている紅一点I氏が、何と、いわゆる「イエローページ」で電話番号を探し出して直接交渉するという荒技でもって故ドラッカー氏の奥様、ドリス女史をイベントにお招きすることに成功した。これは特に1年生の参加者には多少インパクトがあったようだ。まあ、旦那様が喋っている間奥様はがっつり寝とったけれども。

ビデオ上映終了後色々話してると、結構みんなこういうイベントに対するニーズがあるようで、多くの人が感謝してくれた。「またやってくれ」のコメントも添えて。去年まで頻繁にイベントを開いてくれていたDrucker International Clubが休眠状態なので余計に需要が高まっているのかもしれない。

というわけで、引き続き期待に応えねば、という感じですが、次回は28日にアメリカならではのハロウィン・パーティーを少し豪華に準備中。またたくさん来てくれるといいな。

自殺したり、誰かに頼ったりするよりはいいと思う。

空港にて (文春文庫)

空港にて (文春文庫)

 離婚してからも夫は子どもに会いに来たし、わたしたちはときどき会って食事をしたが、最近はそういう機会が極端に少なくなった。たまに電話が来るが夫は元気のない声で、すまないなあといつも謝る。本人はそんなことは一言も言わないが、閉鎖した工場の後始末が大変なのだろうと思う。夫はもちろんわたしが風俗で働いていることを知らない。もし知ったら、教育に悪いと子どもを引き取ろうとするだろうか。三日前にサイトウと会ったとき、いろいろと話したあとに、わたしは勇気を出して、風俗で働いていることを軽蔑しない? と聞いた。サイトウはしばらく黙ったあとで、自殺したり、誰かに頼ったりするよりはいいと思う、と答えた。(「空港にて」p.178)

それは甘えに過ぎない。

空港にて (文春文庫)

空港にて (文春文庫)

サイトウは週に二回から三回わたしに会いに来た。わたしに会うために、ホテル代も含めると一ヶ月に三十万から四十万近いお金を使っていることになる。そんなにお金を使ってだいじょうぶなのかと聞きたかったが、そのことも聞かなかった。相手が意志と好意でやっていることについて、どうしてそんなことをするのかと聞くのは甘えだ。あなたが好きだからやっているんだよ、と言って欲しいからそう聞くのだ。幼児と一緒にいるとそのことがよくわかる。(「空港にて」p.172)