憲法と立憲主義

憲法 第三版

憲法 第三版

第一部 総論


第一章 憲法立憲主義


何となく、憲法再勉強。学部時代にお世話になった芦部教授の教科書ももう第三版。月日の流れの速さを感じます。でも変わらぬ名著ですね。


本章は、憲法に関する基本的概念を説明している。
印象に残った重要なポイントを二点だけ書き抜いておきたい。


立憲的憲法の本質論

立憲的意味の憲法の淵源は、思想史的には、中世にさかのぼる。中世においては、国王が絶対的な権力を保持して臣民を支配したが、国王といえども従わなければならない高次の法(higher law)があると考えられ、根本法(fundamental law)とも呼ばれた。この根本法の観念が近代立憲主義へと引きつがれるのである。
もっとも、中世の根本法は、貴族の特権の擁護を内容とする封建的性格の強いものであり、それが広く国民の権利・自由の保障とそのための統治の基本原則を内容とする近代的な憲法へ発展するためには、ロック(John Locke, 1632-1704)やルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712-78)などの説いた近代自然法ないし自然権(natural rights)の思想によって新たに基礎づけられる必要があった。この思想によれば、①人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、生来の権利(自然権)をもっている、②その自然権を確実なものとするために社会契約(social contract)を結び、政府に権力の行使を委任する、そして、③政府が権力を恣意的に行使して人民の権利を不当に制限する場合には、人民は政府に抵抗する権利を有する。(p.5-6)


自由主義と民主主義の不可分性

「自由の確保は、国民の国政への積極的な参加が確立している体制」=民主主義、「においてはじめて現実のものとなり」、他方、「民主主義は、単に多数者支配の政治を意味せず、実をともなった立憲民主主義でなければならない」(p.17)。