The BCG Way
- 作者: 内田和成
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 単行本
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BCGの現役ディレクターの書いた仮説思考に関する本。
残念ながら、「BCG流」の発想法と言うには語弊があるくらい、既に仮説・検証スキームの有効性は知れ渡っているし、本書で展開されるその方法論もそれほど画期的で驚かされるというほどのものではない。
コンサルタントの思考法、という意味でも、「マッキンゼー:プロフェッショナリズムの本質」(DHBR May 2003)や"The McKinsey Way"(邦題『マッキンゼー式世界最強の仕事術』)の方がはるかに面白い。単純に読み物としても。
ただ、本書の非常に優れたところは、中身をまじめに読まなくても、見出しを追っていくだけで十分に言いたいこと、伝えたいことが理解できるという点だ。つまり、コンテンツもさることながら、構成もくっきりしているわけで、まさに仮説→検証を繰り返して練り上げ、構造化されたものなのだろう、と、ある種本書そのものが仮説思考の有効性を実証しているように感じさせられる。
以下、一応エッセンスをメモしておきたいと思います。
1. 仮説思考とは何か
○仮説思考=「物事を答えから考えること」
・「課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、それを分析して証明する」
・直観的な「答え」は、経験知と最小限のinputによって浮かび上がる。
・仮説・検証のプロセスを繰り返すことで精度を高める。
○仮説思考のメリット
・情報洪水に溺れなくなる。
・問題解決、迅速な意思決定に役立つ。
cf. 網羅思考
・大局観をもって仕事が出来る。
2. 仮説を立てる
○仮説を立てるプロセス
・「問題発見の仮説」→「問題の絞り込み」
→「問題解決の仮説」(打ち手の仮説)→「打ち手を絞り込む」
○仕事での活用例
・レポート作成
→早い段階で全体構成をつくり、全体感を持つ。
e.g. ①現状分析、②結論、③提案
→必要な情報だけを追加調査。
→新たな発見を踏まえ、ストーリーを進化、修正する。
・競争戦略の立案
・プレゼン
○仮説構築の方法(仮説を思いつく方法)
・「既存の」分析結果から仮説を立てる
※仮説のための分析、はしない。時間のムダ。
・インタビューの内容から仮説を立てる
→インタビューの効果的な活用法(目的の明確化、質問の進化、メモ等)
・「ヒラメキ」を意図的に生む
e.g. 反対側から見る、両極端に振って考える、ゼロベースで考える
○よい仮説の条件
・掘り下げられている
・アクションに結びつく
○深掘りし、進化させるための方法論=構造化
・イシュー・ツリー/論点の構造化
3. 仮説を検証する
○実験による検証
・セブン-イレブン「200円のおにぎり」ケース
・ソニーCDのウォークマンのケース
・テストマーケティング
・実験による検証の向き・不向き
○ディスカッションによる検証
・「社内の恥はかき捨て」
→「中途半端な仮説でも前倒しでぶつけてみて、よいインプットをもらい、修正したり進化」させる。
・顧客にぶつけるときは分析をした後で
・仮説を否定せず、進化を目指す
・相手の意見をしっかり聞く
・多様なメンバーで
○分析による検証
・自分が納得するための分析=quick & dirty(急いでかつ粗く)
・本格的な分析=他人を説得するため、万一の間違いを防ぐため
→ただし、意思決定に必要な程度で十分
・定量分析の基本技
①比較・差異による分析
②時系列による分析
③分布による分析
④因数分解による分析
4.仮説思考力を高める
○So What?を常に考える
○なぜを繰り返す
○相手のメガネをかけてものを見る
○上司の意思決定をシミュレーションする
○知的に打たれ強くなる