バガボンド23

バガボンド(23)(モーニングKC)

バガボンド(23)(モーニングKC)

人をして振り返らせずにはいられないような長身。
長髪になかなかの男前。

耳は聞こえない。
もちろん、話も出来ない。

何を考えているのかよく分からないけれど、
それでいて何もかもを見通しているような澄んだ眼を持つ。

ひたすらに剣が好きで、子供が無心に戯れるように剣を究めていく。

人斬りの衝動に取り憑かれてはいないが、
降りかかってきた火の粉は無造作に斬り払う。

しかし、常には純真で、飾らず、無邪気で、余裕を感じさせる。
酒も強くて、女も好き。

佐々木小次郎


鬼とも呼ばれた剣豪の子として生まれ、
幼いときから剣によってしか父と語り合えず、
力によってしか己を表現することが出来なかった。

長じて誰よりも強くなり、15の時に旅の武芸者を撃ち殺した頃から、
小さな村の誰からも恐れられ、疎まれるようになっていった。

孤独の怖さ、寂しさが増すにつれ、すべてを剣に叩きつけていく。
そしてまた孤独が増していく。

宝蔵院、柳生の里で二人の偉大な老人に出会い、
かつてのような抜き身の殺気を超えたところにある何かに気づいた。

しかし、
「強い者を斬り続け、最後に生き残った者が天下無双」
という「人斬りの魔性」に囚われたまま静かにもがき続ける。

宮本武蔵


見事に対照的な二人。

本当の意味で剣こそ己と生きている

美しいならば人を斬ってもよい

と引退後の本阿弥光悦から認められた唯一の二人。


かたや、自分の心身を削り込むように剣の道を追求している男。
かたや、ひたすら楽しみながら技を深めていく男。

まったく別のタイプの天才。


「史実」としての結末がどうなるかはほとんどの人が知っている。

しかし、この二人の生き方を、戦いを、作者はどう深く描いていくのか。

二人を通して我々に何を伝えようとしているのか。


今後が楽しみでなりません。