EQが高業績リーダーをつくる
「EQ こころの知能指数」のダニエル・ゴールマン氏の論文です。
EQが高業績リーダーをつくる What Makes a Leader?
ダニエル・ゴールマン Daniel Goleman
DHBR Sep 2000 (HBR Nov-Dec 1998)
本論文では、EQが5つの要素に分けて論じられています。
(1) 自分を管理する能力
①自己認識
②自己規制
③動機づけ
(2) 他社との人間関係を管理する能力
④共感
⑤社会的技術
リーダーにとってはEQこそが重要である、という議論は筆者の主唱もあって、すっかり定着した感がありますが、個別の要素に分解し、一つずつその重要性、必要性について改めて論じているプロセスには強い説得力があります。
また、ある人物のEQの能力の有無、高低について、他者が外部からそれを推し量るためのポイントについても指摘されている点が、本論文の非常にユニークであり、面白いところだと思います。
なお、「ではEQは学習できるのか?」という重要な論点についてもカバーされていますが、ここでも非常にユニークでかつ説得力のある視点を提供してくれています。
筆者によれば、マニュアルを読んで技術を学んでいくプロセスは、大脳新皮質による学習。長期にわたる練習、フィードバックによる学習は大脳辺縁系によるもの。そして、EQが扱わなければならない情動、衝動をつかさどるのは後者であって、したがってコンピューターのスキル等を学ぶプロセスとはまったく異なる(使う脳の部位が違う)アプローチが必要なのだ、ということです。
非常に説得力がありますね。EQを伸ばすためには、そして、リーダーシップを高めるためには、単発の研修、集合トレーニングではなく、比較的長期にわたるコーチングが有効であり、必要となる一つの理由もここにあると思われます。