アジアの隼(上)

気分転換の読書、小説エンロンに引き続いて黒木亮氏です。

アジアの隼(上)[詳伝社文庫、2004年]

アジア通貨危機直前の成長著しいアジア、特にベトナムでの金融各社の激しい攻防を描いている作品ですが、上巻は本題のビジネスの部分はあまり盛り上がらず、むしろ「ベトナムビジネス紀行」みたいな感じで、10年ほど前の成長を開始したベトナムの状況が面白く描かれています。黒木氏のスタイルからしておそらくほとんどのエピソードが本人の実体験か関係者から直接聞かれた内容と思われますので、ドキュメンタリーに近い感じで読んで構わないでしょう。非常にリアルで楽しめます。

一言で言うと、ベトナムでは政治家・役人といった公的立場にある人からそうでない人まで、賄賂は取りまくり、ズルはしまくり、特に男はろくに仕事もしないでギャンブルばかりしていたり、でかなり一筋縄ではいかない国です。主人公もベトナムへの支店開設許可を得るまでに相当不愉快な(読者からすれば大いに笑えるのですが)思いをします。

ファイナンスに関する知識がなくても、この辺りをざーっと追って見るだけでも相当楽しめるのではないでしょうか。今現在のベトナムに対する興味も大いにかき立てられます。

今日から下巻に入りましたが、冒頭から本題の方が本格的に動き出しました。
今後の展開が楽しみです。