青い蜃気楼 小説エンロン

最近のマイブーム、企業の社会的責任について考える上で欠かせないお題、エンロン

旧ブログでもSmartest Guy in the Roomの映画版その他を紹介しましたが、今日は、国際経済小説の雄、黒木亮氏の「青い蜃気楼 小説エンロン」を読み終えましたのでご紹介します。

これは相当よいです。本質的には小説ではなく、ドキュメンタリーなのですが、まさに、事実は小説よりも奇なり、で、展開が非常に劇的です。また、それほど重くないので飯食べながらでも読めます。

薄っぺらく事件を追っただけのものではなく、膨大な数のSPEを使って遂行された損失隠しの実体が非常に分かりやすく描かれています。また、スキリングとマークという2人のライバルの争いの中で、エンロンが本業であるエネルギーの開発・供給事業から大きく離れ、デリバティブやオプション等エネルギーの市場取引に傾斜し、舞台の裏で屋台骨を崩壊させていく過程が明快に描かれています。映画を見てよく分からなかった部分も腑に落ちました。

ライブドア事件を受け、日本では何かとエンロンが引き合いに出されていることと思いますが、私同様、同社の事情にあまり詳しくなく、少し勉強してみたいという動機を持つ人には最適の書なのではないでしょうか。