腹に据えかね

こんなこと書くべきでないとも思うけれど、腹が立ってしょうがないのと、自分の反省すべき点もあるので書き残しておきたいと思う。ある程度は本人にも伝え済みのことでもあるし。立腹度は過去最高級だ。

*でも読後は心の中にしまっておいて下さい。>ドラッカーの皆様。


ファイナンスのグループメンバーの中に、一人困った人がいる。彼はコーポレート・ファイナンスの理論がほとんど分かっていない。公平に言えば、表面的にしか分かっていない。表面的にしか分かっていないことを自覚している僕から見てそうなのだから相当なものだ。でも彼自身は分かったつもり満々だ。さらに「数字は嫌い」と公言し、コーポレート・ファイナンスの肝の一つであるPro FormaやEvaluationのプロセスではチームへの貢献度が限りなくゼロに近い。むしろ議論をかき回すのでマイナスと言ってもいいかも知れない。

それでも例えばストラテジーの側面でよい議論やアイデアを出すのであれば、そこは分業ということで十分contributionになる。彼自身も「数字は嫌いだが、自分はstrategy guyだ」と言っている。しかし、正直、冗談はよしてくれ、なレベルだ。適当な思いつきを言うだけで、ファクトの裏付けはないし、大体ファクトを間違ってる。

それでもそれでも、きちんと議論を理解して、writingでしっかり貢献してくれるのであればfair enoughだ。ところが、彼のwritingは小学生レベルでとても使えない。毎回一番簡単なパートを取っていって(そこしか振れないのでそれ自体はむしろwelcomeなのだが)、outputは最低。毎回かなりの程度(平均80%)書き直すことになる。できるだけ彼に対してoffendingにならないように留意しながら(Could I add some more details?とか何とか)。一体どれだけの時間を無駄にしていることか。

それでもそれでもそれでも。もし彼がよく人の話を聴いて、良くないところは改めて、みたいな柔軟性を持った人であれば、上記3点もすべて許して一緒にやっていこうと思えるだろう。これはあくまでB-Schoolのグループワークに過ぎないのだから。On the contrary,既にimplyされているように、彼には自分は十分にできる人だという思いこみがある。


で、いつか起こるだろうなとは思っていたが、今日決定的に腹に据えかねることが起きた。ケースのプレゼンが終わってbreakに入った途端、B+しかもらえなかった前回のwrite-upについて彼が「もしどこかを書き換えたら、そこについてはそいつが責任を負うべきだ」と憎々しげに言い放って教室を出て行った。

これには伏線がある。先週例によってあまりにお話にならないレベルのwrite-upを書いてきたので、自分に出来る限りの気を遣って書き直した。その時当然一悶着あって、彼は、(結論を書いたのが僕だったこともあって)「全体のconsistencyを確保するために、君の修正を受け入れる」と言う。さらに、その後「consistencyを重視したんだから、いいグレードがもらえることを祈る」と捨てゼリフを言って去っていく。自分の書いたもののクウォリティなどはまったく省みてもいない。その後も先週のクラスのディスカッションの中で僕らが想定していなかった論点がメインになっていたこともあって「あちゃ〜」という感じだったのだけれど、彼はこれ見よがしに「CかDだな。Bがもらえたら御の字だ」みたいなことをしつこく繰り返す。この先週の一連のやりとりの中でかなり臨界点に近づいていた。他にもメールでの不愉快なやりとりがあった。

しかし、今週のグループワークは、彼の相変わらずのやる気のなさとwritingのlow qualityを除けば結構生産的な議論が出来たし、彼とも割合いい感じにコミュニケーションが取れていたこともあって、今後はまあそれなりにやっていけるかなと期待していたのだけれど、すべてをひっくり返すような上記の発言が飛び出した。

ピンと(「カチン」とか「プチッ」とも言う。)来たので、
俺が書き換えたからB+だったって示唆してるのか?
と聞いた。彼は「そうじゃない」と言いつつも、結局言ってることはそうだった。もう限界を超えてしまい、いかに彼の仕事のレベルが低いかということを率直に、でもできるだけ冷静に、具体例を示しながら説明してやった。今思えば他にやりようがあったかも、と思うけれど、自分が投じている時間とエネルギーとこれまでの鬱憤からすると、彼の発言はまったく笑ってやり過ごせるものではなかったのだ。穏やかに話してはいたが、内心はマジギレしていた。これはほんとに久しぶりだ。腹の中は煮えくりかえっていた。

しかし、彼にしても「そうですか。僕の仕事はダメなんですね」なんて受け入れられる話でもないので、当然お互いに切れあって終わっただけだ。その口論における最後の彼の発言は「お前はグループを支配しようとしている」だった。いやはや。

授業終わったあとに、彼なりに考えたのか、「俺はストラテジーに集中する。お前はファイナンスに集中しろ。それでいいだろ」と言って去っていった。それも既に間違っているのだが、どうにもしようがないし、彼とそこまで徹底的に付き合うヒマも動機もないし、「そうだな」と言っておいた。あと3〜4回のケースは基本彼のその枠組を尊重し(たフリをし)つつ、出来るだけやわらかく、ストラテジーの議論を精緻化することに努めようと思う。彼が貢献意識を持てるように気をつけながら。頭が痛いのはどうやってwritingを直すかだ。率直な議論は多分彼が受け入れないし、それほど時間もない。胃が痛いことだ。


と、怒りに任せて書きつづってしまったが、カーネギーによればリンカーンならここでこのエントリをupしないで捨ててしまうだろう。僕はそこまで人間が出来てないのでupしてしまいます。自分の大きな反省点もあるので。

反省点とは、そもそも最初のwritingのときから、手間と時間を惜しまず、懇切丁寧に、彼のwritingのbrush-upに付き合ってあげればよかったのだということ。彼の書いたものを最大限尊重しながら。それをすると確実に残りの十週間同じことを繰り返すハメになり、莫大な時間を投じることになっていただろうけれど、少なくとも感情的なエントロピーは最小化されていただろうと思う。そのうち彼の方でも、次はより詰まった議論をしよう、というよいモメンタムが生まれていたかもしれない。

もっとシンプルに言えば、いかにメールの文面が丁寧に書いてあったとしても、自分の書いたものを勝手に直されて、押しつけられてしまったら自分自身の人格を否定されたような気になるだろういくら時間がないからそうするしかないと思えるような緊急の場合でも、どんなに内容がぐちゃぐちゃでお話にならないレベルのものであったとしても(本人はそもそもそう思ってないのだからなおさらだ)、それを書くのに彼が投じた時間や彼のプライドを考えればそれは当然のことだ。だから、しっかり可能な限りの時間をかけて、彼にも最大限の納得をしてもらいながら、作り直すしかないのだ。多分。


と冷静に考えてみれば、自分の落ち度が見えてきた。

次回に向けて真剣に対処法を考えてみよう。