選択的要素劣位とイノベーション

選択的要素劣位はイノベーションの強力な源泉になりうる。それが『国の競争優位』の中でポーターが語っている重要なポイントの一つだが、実際にどういうことかと考えてみると結構面白い。例えば、

選択的劣位の最もはっきりした事例は、その国の企業が外国のライバルと比べて絶対コストの高い要素に見舞われた場合である。たとえば、多種多様な産業の日本の企業は、極端に高い地価と、それに伴う厳しい工場スペースの制限に直面した。この難問題を回避するために、ジャスト・イン・タイム(カンバン方式)その他のスペース節約の生産技術を創造して、必要在庫量を劇的に削減した。生産要素の不足、入手困難、特定要素の使用の強い制限は、高価な要素コストと同じかそれ以上に、イノベーションに刺激を与えるのである。(上巻, p.124)

なるほど〜。そういう捉え方があるのか。本当のところの元々の発想はどうだったのか是非調べてみたい気がするけど、理に適ってる考え方だ。アメリカみたいにstorageスペースがやたらにあるところでは生まれ得なかった発想かもしれない。