デカくてグリーン(2)

グラキャニ
グラキャニ posted from フォト蔵
さて、GE話の続きです。Ecomaginationについて。同社のEcomagination Web Siteによれば、

Ecomagination is our commitment to develop products and solutions that help our customers, shareholders and the public.

と、非常に幅広く定義されていますが、周辺の"green is green"等の文脈から察するに、環境にやさしいor環境改善に貢献する製品・サービスを開発・提供することで社会に貢献すると共に、自社の競争力を高める、というコンセプトであるようです。トヨタのecoその他と同じ発想で、これ自体はそれほど新しくも、めずらしくもないことです。


しかし、GEの面白いところはその実施に本気で力を入れている(ようにみえる)ところです。The Ecnomist(Dec 10, 2005)の記事"Special Report: A lean, clean electric machine - The greening of General Electric; The greening of General Electric"からいくつか紹介しましょう。


まず、GEは2012年までに地球温暖化効果のあるガス(GHC)の排出量を、2004年よりも1%減の水準に持っていくことを目標としています。「大したことないじゃん」と言いそうになりますが、自然体で行って成長目標を達成していけば、2012年の排出量は2004年の40%増になるそうです。とするとなかなかの削減効果と言わざるを得ますまい。


肝心なのはどうやって実現するのかですが、これもなかなかGEらしくふるっています。当然R&D投資を増加させたり、イメルト氏が社内外で発破をかけまくったり、ということはやっているのですが、何とマネジャーの評価にも削減に対する貢献度合いを反映させているようです。つまり、同記事によれば、

NEXT month General Electric's corporate bosses will drop a bombshell on the hard-charging managers of its global businesses. In future they will be judged not only by all the usual measures, such as return on capital, that investors typically care about: they will also be held accountable for helping to save the planet.

とのことです。何とも志が高い。


地球市民としては喜ばしく、是非頑張って、と言いたくなるところですが、ビジネスとしては果たしてどうなのでしょう。もちろんイメルト氏もNGONPOのような発想だけでやってるわけではないようです。要するに、①将来環境規制が強化されることは不可避と睨んだ上で、今からその時代に向けて決定的な競争優位となる技術力とブランドイメージを構築しておきたい、②環境にやさしい製品そのものの新しい市場を切り拓きたい、というのが戦略上の狙いどころ。①を加速させるために、炭素の排出規制を強化するよう政府へのロビイングも熱心に行なっている模様です。


しかし、思惑通りうまく行くのか。ホントに、一市民としては「素晴しい!」の一言なのですが、企業としてはなかなかにriskyなことをやっている気がします。大丈夫なのでしょうか。同記事を書いた記者も、

In fact, it is not an exaggeration to say that Mr. Immelt is embarking on the most ambitious and risky strategy for GE since the 1980s, when the combative Jack Welch, then its boss, reshaped the company by slashing costs and selling business units.

と感想を漏らしております。とはいえ、Forbesのアナリストランキング(コングロマリットの収益予測部門)で第一位にランキングされているDeane Dray(GS)氏が「環境問題に貢献するという視点を抜きにしても、Ecomaginationのどのイニシアティブをとってもビジネス的に成長力があるように見える」と指摘しているらしいので、成功の可能性も決して低くはないのでしょう。

なかなか大変だとは思いますが、是非ブレイクスルーを実現して頂きたいものです。