デカくてグリーン(1)

グラキャニ
グラキャニ posted from フォト蔵
今日Morality&Leadershipのreadingで、HBSの"GE's Two-Decade Transformation: Jack Welch's Leadership"というケースを読んだ。就任直後の大規模なビジネスの再編("hardware")、1980年代の"software"の改革(Work-Out, Best Practice)+Leadership Development等、1990年代の境界のない組織作り、product serviceの強化、シックス・シグマ、等々、彼の任期を大きく区分し、各時代に行なった変革を分かりやすく端的にまとめている。大変分かりやすく、また、いかに彼が現在のマネジメントの理論と実践に大きく影響を与えているかがよく分かる。非常にためになった。

しかし、そうすると気になるのは、2001年に彼が退任して以降のGEは一体どうなっているのかな、というところ。ちょっとパラパラと色々眺めてみた。


とりあえず、webに公表されているSelected Financial Dataによれば、現CEOのイメルト氏に変わってからも、2002年、2003年に少し足踏みしたことを除けば、revenueもprofitも数字は上がっている。ただ、ROEは結構下がっている(24.7%@2001年→17.7%@2005年)。連結のROICは(多分数字が悪いから)ここには載っていないけれど、net earningsをtotal assetで割ってROCと似たようなものを計算してみると、
2001年 2.78%
2002年 2.46%
2003年 2.35%
2004年 2.24%
2005年 2.42%
という感じ。まあ、いいのか悪いのかこれだけだとよく分からないけれど、少なくともイメルト体制に変わってから劇的に状況が悪くなった、ということはないみたいだ。revenueとprofitという外形だけ見ればちゃんと成長しているとも言える。そのうちちょっとまじめに分析してみたい。


驚かされるのが、HPの至る所に見られる、巨大であることの強みをアピールする文章。"Letter to Stakeholders"という資料の冒頭には、

GEはBIGな会社です。私たちはBIGであることは美しいと考えます。
私たちのサイズは、従業員のエクセレンスに対するコミットメントと
勝利に対する決意によってもたらされたもの、とGEでは考えます。
私たちは、成長速度が速く、世界中に広がっていく多角的企業体です。
私たちのゴールは、BIGになるだけではなく、このサイズを活かして
GREATな企業となることです。(p.1, 仮訳)

コアビジネスに特化して後は全部アウトソースしてまえ〜という昨今の流行からすると、これほどまでに巨大なコングロマリットであることを正面から賛美している例も珍しいのではないだろうか。正確なことは各部門ごとに数字を洗ってみないと分からないけれど、各部門のパフォーマンスも全体と同様に決して悪くないorエクセレントなものなのだとすると、GEのマネジメントはやはり相当優れているのだろう。だって、wikiによれば、

The company describes itself as composed of a number of primary business units or "businesses." Each "business" is itself a vast enterprise, many of which would, even as a standalone company, rank in the Fortune 500.

だそうですから。一つ一つの部門を効果的・効率的に経営するだけでもただごとじゃないはず。


というわけで、CEOが変わっても巨大さは保っていて、かつパフォーマンスも少なくとも悪くはなさそうであることがわかったけれども、面白いのがイメルト氏の打ち出している"Ecomagination"もしくは"green is green"という最近の路線。これについては後編にて。