ジョブ・スカルプティング
- 作者: DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/04/07
- メディア: 単行本
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第8章 キャリア・デザインで優れた人材を生かす
(原題: "Job Sculpting: The Art of Retaining Your Best People")
ペラグリン・パートナーズ パートナー
ジェームズ・ウォルドループ
ペラグリン・パートナーズ パートナー
ティモシー・バトラー
「優秀な人材のモチベーションを高め、彼or彼女を辞めさせることなく貴社で確保するためには、その人材の人生の目的を理解し、それに沿った仕事を提供しなければなりませんよ。それも人事部任せではいけません。マネジャーも部下の職務にコミットしなければいけません」
これが本稿の主旨だ。まったく同感、異論の余地はない。というより、今や少なくとも大組織では当たり前の考え方となっており、どこの組織でもその実践に四苦八苦しているのが実情ではないだろうか。
しかし、致命的なことに、本稿ではその方法論は示されていない。
一つだけ付加価値があるのは、この「人生の目的」に沿ってすべての仕事が8つのタイプに分類できるorどのような仕事を好むか(≠得意か)によって人が8つに分類できるという調査結果を示していることだ。部下の好きな仕事の傾向を理解する上で、このフレームワークはなにがしかの役に立つのではないだろうか。
①技術マニア
②定量分析マニア
③理論人間
④創造的生産人間
⑤カウンセリング人間
⑥管理志向派
⑦組織のリーダー
⑧アイデアマン
ちなみに、このような好みは一つに限られるわけではなく、一人の人の中に複数存在しうるとのこと。
最後に、本稿の翻訳でjob sculptingに「キャリア・デザイン」という訳語を当てているのはいささか不適切な気がしてならない。
jobをsculptするということは、辞書に書かれている言葉の本来の意味からしても、また本稿の主旨からしても、「その人に合わせて仕事を選ぶもしくは設計する」という意味だ。他方、本来の意味での「キャリア・デザイン」は個々人が自分自身で行なうものだ。つまり、本稿は、個々人の「人生の目的」に基づいた「キャリア・デザイン」に合わせて、マネジャーや会社側が仕事を提供したり作り込んだり(=「ジョブ・スカルプティング」)しなさい、と言っているのであって、マネジメントが従業員の「キャリア・デザイン」をしてあげなさいとは言っていないし、誰もそんなことは言わないと思う。