ローカルのグローバル化

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

第五部 地政学とフラット化する世界


第13章 ローカルのグローバル化−新しい文化大革命が始まる


本章では、グローバリゼーションとはアメリカ化ではないのか?=多様性を損ないろくなもんじゃない、という見方に対して、筆者は「世界のフラット化がかならず文化を豊かにし、保存するなどというつもりはない。ただ、文化を破壊するとは限らない」と反論している。

前の章でも述べたように、世界のフラット化によって環境が危険にさらされていることを、過小に見積もるつもりはない。しかしながら、文化に関していえば、世界のフラット化がアメリカ文化一色に染める道筋を提供するとは限らない、ということに望みをつないでもよいだろう。もちろん、フラットな世界のプラットホームが、均質な文化に向かう可能性はあるし、すでにそうなっているが、多様化をいまだかつてなかった段階にまで育てる、より大きな潜在的な力も働いている。(p.320-321)

この「多様化をいまだかつてなかった段階にまで育てる、より大きな潜在的な力」、これがローカルのグローバル化=各国、地方の多様な文化がフラット化によって世界に発信され、共有される現象だ。この増補版で加えられた短い章では、以下のような具体例が指摘されている(詳細省略)。


○アップローディング(ブログ、ポッドキャスティング等)

○インド、中国等ではもはや移民しなくてもイノベーションができるから、地域文化は十分に保存される。

アメリカやヨーロッパへ移住した個人もまた、「オンラインで故国の新聞が読めるし、IP電話を使えばただ同然の料金で家族や友人と話をすることができる。カイロやコルカタの(アラビア語ヒンディー語の)ニュースをインターネットか衛星放送のテレビで見ることができる」。

バンガロールのジャドゥー・ワークス社のケース(最新テクノロジーを活かし、現地の若いアーティストを育成)