アマルティア・セン
- 作者: マリル・ハートマッカーティ,Marilu Hurt McCarty,田中浩子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2002/06/29
- メディア: 単行本
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第2部 合理主義への制限と政府の役割
第8章 経済学と倫理
○アマルティア・セン
・1998年、ノーベル経済学賞受賞。
・「経済学と哲学の手法を結合させることによって、彼は人間の生死にかかわる経済的諸問題の考察に倫理的要素を再び持ち込んだ」(受賞理由)
・「妻は経済史家として名高いエマ・ロスチャイルド」
○経済学と倫理
・規範的経済学(normative economics)と実証的経済学(positibe economics)
・セン「規範的経済学への関心が高まれば、経済学は知的思想の歴史において卓抜した位置へ復帰できる」
・実は個人の利己心を信奉していたかのように思われるアダム・スミスも、規範の重要性を指摘していたらしい。
近代経済学の創始者たるスミスは、実を言えば利己心の合理的な追求と彼が「自制心」と呼ぶものの間の調和を重視した。スミスの定義した自制心には、他者への「共感」と個人の利己心追求に対する制約が含まれている。そしてさらに、「偉大なる共同体」の利益を実現するためには、「われわれの小さな利益を犠牲にしなければならない」こともあるだろう、とも主張している。
○プロセスの公正性
・結果主義的方法(consequential way)と義務論的方法(deontological way)
・新古典派理論は結果(=社会の総厚生へ与える影響)を重視しすぎる。
・義務論者はプロセスの公正性を重視する。
○飢餓の経済学
・自ら直接的に触れた1943年のインドの大飢饉が原体験。
1943年の大飢饉の犠牲者は推定300万人。だが、当時のインドは、この犠牲者を十分に賄えるだけの食糧を生産していたのである。センは人々を救うことに大失敗したシステムを解き明かそうと決心した。
・好況期における景気の不平等な拡大が原因だった。
・食糧援助よりも資金援助。