ロナルド・コース

ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想

ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想

第2部 合理主義への制限と政府の役割


第7章 外部性と上手につきあう


ロナルド・コース
・1991年にノーベル賞受賞。


外部性に関する独自の理論
・伝統的な考え方:外部性=「市場の失敗」=政府の干渉(環境汚染税、罰金、補助金等)を認める根拠
・コースの理論=政府の干渉がない場合、外部不経済or外部経済の発生している経済に属する主体が相互に交渉し、補償を行うことにより、双方の生産が生み出す純便益を極大化するような妥協案を見出すことが可能
・この場合、これらの主体に与えられる情報が効率性のカギ。


取引費用(transaction costs)
・ただし、関係者の数が増大し、外部不経済のもたらす効果が多様化するにつれ、取引費用=合意に至るために要するコストは増大する。

多数の企業間の配分責任にまつわる問題は、生産の連関の随所で数多くの取引が発生することから、取引を行うための費用が膨れ上がることである。企業があちこちに点在するようになると、契約交渉がいっそう複雑になる上に製品の到着時間もいいかげんになり、さらには信頼できる企業がまだ存続しているのかさえ不確かになる。すべての取引が一つの企業内で行われれば、様々なプロセスの調整や取引費用の削減は簡単にできるに違いない。多機能型の企業はこうして誕生した。多機能型の企業なら、外部で発生する取引費用を内部の一般管理費に転換でき、他の多機能でない企業どうしが互いの機能を駆使する以上に効率的な企業運営が可能になるのである。

筆者の意見か、コースの意見かはよく分からないが、えらく古くさい話だ。この議論からすれば、アウトソーシングは×ということになりそうだが、現在ではフラット化の圧倒的な進展のお蔭で取引費用が劇的に下がっているから、

一社ですべてやろうとすることによる競争優位の低下=機会費用の増大
>>アウトソーシングの実施による取引費用の増大

ということで、アウトソーシングした場合の方がはるかに費用は小さくて済むor便益が大きくなる、ということかもしれない。


プリンシパル−エージェント問題
生産現場の労働者と経営者
・改善策:情報の改善、利害衝突の沈静化、品質管理サークル、経済的インセンティブ、取締役会に労働者の代表を出席させる等