ケネス・アロー

ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想

ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想


第2部 合理主義への制限と政府の役割


第5章 合理的個人が集まると不合理な集団になる?


ケネス・アロー+ジョン・ヒックス、1972年にノーベル経済学賞受賞


○個々人の構成の最大化=社会全体の厚生の極大化という新古典派経済学者の結論に問題提起
受け取る財と享受する便益の区別
・前者の計測は容易だが、後者の計測は困難
・そもそも、厚生には「量」としての性質がない。


○人間の意思決定を2つのカテゴリーに分類
・「嗜好」=市場で表明される選好
・「評価(value」(※「価値」もしくは「価値観」とすべきかも)=政治過程を通じて表明された選好


○政治過程を通じた意思決定の問題
・「投票のパラドックス(paradox of voting)」=「(政治過程を通じて)集団的に為される意思決定は決して合理的ではあり得ない」
・「不可能性定理(impossibility theorem)」=「投票者に3つ以上の選択肢が与えられたときに矛盾のない投票結果は得られない」


○政治過程を通じて行われる意思決定
公共投資
・外部性(externalities)が存在する場合