動機づける力

動機づける力

動機づける力

既にいくつかご紹介した論文も含まれますが、なかなか粒よりのよい論文集でした。テーマはモチベーションで、相当古いものから最近のものまで、幅広く集められています。なかなかお買い得なのではないでしょうか。

以下、特に印象に残ったものをいくつかご紹介します。


第1章 モチベーションとは何か
詳しくは既に「社員に発電機を組み込む」でご紹介しましたが、「モチベーションとは何か」とそもそも論を考えてみる上で非常に参考になります。また、衛生要因と動機づけ要因という段階的なアプローチも実践的で分かりやすいです。


第2章 ピグマリオン・マネジメント
これも既にご紹介したものです。上司の「期待」が果たす役割、そして「適切な」期待を持つために考えなければならないこと、について非常に興味深い論考がなされています。


第5章 フェア・プロセス
ブルー・オーシャン戦略」のキム教授(INSEAD)の主要な研究成果の一つで、いかに公平なプロセスで変革を進め、社員の信頼を得ていくことが重要であるかという議論です。もちろん、「公平」であるために外せないいくつかのポイントも示されています。紹介されているケースも興味深いものです。


第7章 正しい苦言の呈し方
どうすれば感情的対立や衝突に至ることなく、効果的に部下に対するネガティブなフィードバックを行えるか、について論じられています。筆者によれば、そのような失敗に終わる大きな理由は、フィードバックに臨む上司の思考の枠組が偏狭で、固定的になってしまっていることにあるようです。


第8章 ストーリーテリングが人を動かす
これも多分旧ブログの方で記事を書いたような気もしますが、モチベーションに限らず、すべてのプレゼンテーション、説得のプロセスにおいて、人々の感情に訴える物語を語ることが最も重要であるということ、及び、良い物語を語るために必要な原則について論じられています。