Questions of Character

Questions of Character: Illuminating the Heart of Leadership Through Literature

Questions of Character: Illuminating the Heart of Leadership Through Literature

  • 作者: Joseph L. Badaracco Jr.
  • 出版社/メーカー: Harvard Business Review Press
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: ハードカバー
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HBSのバダラッコ教授による"Questions of Character"。古今の様々な文学作品を題材にexectuvie MBAのクラスで行なわれたリーダーシップに関する議論が集大成されたものです。、本書は凡百のリーダーシップ本にあるような表面的なスキルを列挙しているようなものではなく、主にリーダーが自分自身と向き合い、乗り越えていくべきポイントが論じられており、大変に読み応えがある内容であると思います。


リーダーとして、あるいはリーダーを目指す上で、自分の人格を試されるような機会が度々訪れますが、本書ではそのような問いをquestions of characterと呼んでいます。キャリアの比較的初期から直面し始めるquestionsから、リーダーとして大成していく中で直面するquestionsまで、順に8つの視点から論じられています。


例えば、①リーダーの持つ夢の質が問われるということ、②リーダーの信条が時とともに深く、幅広くなってゆかなければならないということ、③心をかき乱し続けるようなロールモデルの役割が重要であること、④仕事に対して自分自身が強く情熱を持って取り組める理由が明らかであるとともに、他者に対しても真に貢献しうる仕事であることが必要であること、等についてはサマリー記事で触れたとおりです。


加えて、⑤責任を引き受けるということの意味を正しく理解し、能動的に、覚悟と決断を持って責任を引き受けなければならないということ、⑥自分の真の感情から遊離して表面的に過ぎない成功を収めていくことがいかに危険であるかということ等、多くのquestions of characterがそれぞれ様々な角度から論じられています。


「目からウロコ」な部分の多い、リーダーシップに関する議論や洞察もさることながら、それぞれの章で取り上げられる作品そのものも非常に魅力的で、ほとんど日本語ではアクセスできないものばかりですが、読んでみよう、見てみようという気にさせられます。


本書を読んで思ったのは、第一に、それぞれのquestions of characterの意義を真に理解するためには、やはり基本的に自分自身の経験の幅と深さが重要なのだなということでした。例えば、私の場合は、6章までの内容は非常によく理解することができましたが、最後の7章と8章は、「論理的に言っていることは分かるけど、感情や実際の感覚を伴って深く受けとめることはできない」という感じでした。他方で、第7章と第8章のように今までの自分の経験では深く受けとめられない内容であっても、元の作品そのものに触れ、登場人物の人生や葛藤を疑似体験した後で、本書に戻ったり考えたりすることで、自分の直接的な経験の幅を超えた部分に触れることもできるように思えました。そのうちそれぞれの作品を実際に読んでみて、再度本書を紐解いてみたいと思います。