「世界がわかる宗教社会学入門」

世界がわかる宗教社会学入門

世界がわかる宗教社会学入門

友人オススメシリーズPart3。著者の東大の教養向け講義を本にしたものだそうです。非常に分かりやすく、世界の主要な宗教の概括的な理解を得るのに役立つとともに、ユダヤ教キリスト教イスラム教、そして仏教等毎日耳にするような宗教についても、いかに自分が知らないのかor誤った知識を持っているのかということを思い知らされるよいきっかけになりました。


例えば、ユダヤ教でもキリスト教でも仏教でも「死後の世界」は存在しないそうです。知らなかったのでかなりびっくりしました。どういうことかというと、

キリスト教の場合、最後の審判の際に、死者もすべて「復活」し、神に裁かれ選ばれた場合には、生者とともに「生きたまま」天国へ進むと信じられているそうです(じゃあ火葬にされた人なんかはどうなると考えられているのかな、と思ってみたり)。

・仏教の場合も、死者は転生し、次の生を送ると考えるそうです(輪廻)。つまり、死=次の生の始まり、であって、日本人がよく持っているようなイメージ=死んだら三途の川を渡って死者の国へ、みたいなイメージは実は本来の仏教のイメージではないようです。よく言う地獄と極楽の「極楽」も、決していい人が死後に生活する理想的な世界、ではなく、次の生で成仏=仏となって輪廻から解脱するための「ショートカット」なのだそうです(浄土宗系の考え方)。


実は日本人が「常識」のように思っていることには誤りが多く、また、その「常識」だと思っている内容の中に、日本人(あるいはその個人)固有の死生観が相当程度入り込んでいるようです。


他にも、カトリックプロテスタントの根本的な違いは何か、とか、キリスト教仏教徒でいかに世界観が異なっているのか、等々、目からウロコな内容が盛りだくさんです。これからの国際社会を考えていく上で、「宗教」の視点は決して外せないものだと思いますので、この本をいいきっかけとしてしっかり勉強してみようと思います。


ちなみに扱われているのは以下のような内容です(ご参考まで)。

ユダヤ教キリスト教宗教改革(ルターとカルヴァン)/イスラム教/初期仏教/大乗仏教/中国と日本の仏教/儒教尊皇攘夷思想