ステップ⑧ 変革を根づかせる -企業変革力(10)-
- 作者: ジョン・P.コッター,John P. Kotter,梅津祐良
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2002/04/13
- メディア: 単行本
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文化とは、その集団に属する人々によって共有される、①行動規範/行動様式と、②価値観である。企業の持つ文化はきわめて強力な力を持つ。人々の行動に強い影響を及ぼし、その姿をはっきりと捉えることが困難であるため、文化を変えることは困難であるという特質を持つ。このような文化の特質のために、変革によって採用された新しい方法が企業文化と合致していなければ、変革は後退を余儀なくされる。新しい方法は、企業文化にしっかり定着させる必要があるのである。
ほとんどの企業変革の試みにおいては、従来の文化の中核的部分が新しいビジョンと常に矛盾するものであるとは限らない。このような場合には、お互いに相矛盾する部分を取り除きつつ、新しい方法を古い文化の幹に接ぎ木していくことが課題となる。その際、旧文化への敬意とそれを大切にしてきた従業員達への配慮を忘れないように注意が必要である。
「あるグループで変革を進める際にぶつかる最大の障害は文化である。したがって、大規模な変革における第一段階は、行動規範と価値観を変えることである。ひとたび文化が変われば、その後の変革は実行がたやすくなる」とする広く信じられてきた考え方があるが、これは誤りである。文化はその掌握からして非常に難しく、その変容は実現がきわめて困難である。したがって、文化の変容は、変革の第一段階ではなく、最終段階で実現されるのである。
ただし、変革の初期段階で文化の問題を考慮しなくてよいということではない。現存の文化をきちんと理解すればするほど、どうやって人々の危機意識を高めるか、どうやってビジョンを生み出すか、等、各段階をより効果的に進めるために必要な事項についての理解が促進される。また、変革の第二段階では、連帯チームのメンバー間で過去の習慣を変える努力が求められる。しかし、いずれにせよ、強力な行動規範や価値観を実際に変える作業は、ほとんどの場合、変革の最終段階で進められるべきである。