すごい考え方

ハワード・ゴールドマン著/松林博文訳
すごい考え方(Choose What Works)
中経出版

なかなか面白い本でした。
一言でいうと、

○自分の使う言葉が世界を、未来を創り出す。
○自分が「原因」であり、世界が「結果」である
という根本的な哲学の下、効果的な、①セルフ・コーチング(前半)と②プロジェクト・マネジメント(後半)の具体的な方法論について論じたもの

です。タイトルは、ゴールドマン氏の弟子に当たる(と思われる)大橋禅太郎さんの「すごいやり方」「すごい会議」に関連づけているようです。それだけ大橋さんの影響力があるということでしょうか。

内容は悪くないと思います。コーチングを勉強している人にとっては新奇な部分は少ないのですが、使う「言葉」にまで遡ったセルフ・コーチングの方法論も優れている気がしますし、コーチの視点からしても、優れた質問の視点をたくさん与えてくれます。特に、「結果と成果」、「解釈と事実」の区別は非常にリアリティがあり、また効果的だと思われます。

後半の効果的なプロジェクトマネジメントについても、なるほど、と思わされる部分も多いです。「当たり前」のように見えてしまう部分も多く、ついついシニカルな態度で読んでしまいそうにもなりますが、よく考えると、「当たり前」と思えるほど言語化されている点は素晴らしいし、これらを常に実践できれば相当生産性が上がることも間違いないと思われます。

ただ、コーチングと同じく、読んだだけ、知識を得ただけでは驚くような効果は得られませんので、実践の中で試していくしかありません。したがって、本書の真価が分かるのは随分先と思われます。