GOOD TO GREAT(1) GoodはGreatの敵

名著との誉れ高いJim CollinsのGOOD TO GREAT。

カバーには、ドラッカーを先頭に、USA Today、Fortune、Wall Street Journal等々からのこれでもかと言わんばかりの讃辞が掲載されています。

多くのビジネススクールで教科書として採用されているそう。
来週のManaging Flowの授業でもこの本が教科書になります。

Chapter 1: Good is the Enemy of Great
GOOD TO GREAT
Jim Collins
Harper Business (2001)

とりあえず第一章では本書で示される洞察を生み出すに至るリサーチプロジェクトの内容と、第二章以下で展開されるgood to greatの秘密の全体像が示される。

前者はなかなか圧巻だ。6000扁の記事・論文、2000ページに及ぶインタビューのtranscript、3億8400万バイト(366メガバイト?)の電子データに対して、10.5人年の労力を投じて分析が行なわれている。もちろん、著者1人ではなく、調査はチームで行なわれている。また、筆者が特に強調しているのは、彼らはまず仮説ありきではなく、徹底した比較分析の中から、goodからgreatに至るプロセス、すなわちブラックボックスを解明する糸口を見つけていったということ。つまり、fact-basedのあくまで経験的な分析の中で見つけた洞察が示されているのであって、元々あったストーリーを裏付けるためのデータが集められたわけではない。

そもそも、good to greatというのはいかなる概念であるのか。

端的に言えば、goodな企業は世の中にたくさんあるが、greatな企業はそれほど存在しない。そして、greatな企業も始めからgreatだったわけではなく、goodな状態からある種のbreakthroughを経てgreatに至っている。では、そのbreakthroughをもたらし、かつgreatな状態を継続させるような違いはどこにあるのか。

それが本書の主題である。

なお、主観的なバイアスを排し、できるだけ客観的な分析を行なうため、bestな企業は、cumulative stock return(配当の累積額?よく分からない)が15年以上にわたって市場平均(?)の3倍以上を維持し続けているという条件を中心に定義されている(残念ながら自分の知識不足と細かい説明の欠落からかちっと理解できておらず)。

そして、bestな企業のbestな企業たりえる条件を明らかにするため、比較すべきgoodな企業たちを注意深く選び、11のbestな企業、それぞれと同一産業に属する11のgoodな企業、一時素晴らしい業績を挙げたもののそれを維持することが出来なかった6の企業、の計28企業を分析している。分析の結果得られた洞察は、次章以下で明らかにされる。