コーチと専門性
コーチングに関するよくある会話。
太郎said
「コーチングは相手の中にある考えや、行動を引き出していくプロセスだよ。
だから専門性や経験というのは問題にならない。
極端な話、小学生にだって大企業の社長のコーチになれるんだ」
次郎said
「僕はそうは思わない。
特定分野でのしっかりした専門性や経験、特に人生での経験が豊富でなければ
優れたコーチングはできるはずがないよ」
このような議論、疑問は、コーチングを学ぶ人は必ず一度は抱くものなのじゃないかと思います。僕もその1人でした。今の自分の結論としては、太郎も次郎も、半分ずつ正しくて、半分ずつ間違っているのだと理解しています。
今日のCTPではコーチとしての専門領域(←コーチング・スキルではなく、例えばリーダーシップ、マーケティング、キャリアマネジメント等、扱うイシューに関する専門性)を扱いましたが、コーチと専門性に関する質問をみんなに投げてみて、それぞれの意見を聞いていると、どうやら大体みんな考えている方向は同じであることが分かり、自分なりにロジカルに整理することができました。
【コーチにとっての「専門性」の意義】
○コーチングの本質は、相手の中から答えを引き出していくコミュニケーション。
なので、極端に言えば太郎の言うとおり、小学生にだって大企業の社長のコーチが
できるわけです。CEOをやっているおじいちゃんとの会話の中で、無意識に孫娘が
おじいちゃんの考えを引き出しているところを想像してみて下さい。
○他方で、以下のような理由から、高い専門性や、経験があった方が、
より効果的、より効率的に(短時間で)結果を出せるコーチングができるのでは
ないでしょうか。
①専門性が明確である方が、潜在的クライアントにとって分かりやすい。
(マーケティング、ブランディングの視点)
②クライアントの扱いたいイシューに関する専門用語を広く、深く理解して
いる方が、コミュニケーション・コストが下がる。
(クライアントの話すことについていけないと問題になりません)
③よく知っている分野の方が、コーチ自身も楽しめ、モチベーションが上がる。
これは、クライアントにも好影響を与える。
④教える(ティーチング)ではないにしても、相手の抱えている問題、
陥っている状況をよく理解している方が、効果的な質問を投げられる。
⑤高い専門性を持っている場合、その分野に特化した効果的かつ効率的な
ツールやプログラムを構築することができる。
とりあえず、こういう理解でよいのかなと思います。