北朝鮮ミサイル問題ver4

【事実関係等】

2006/7/5

北朝鮮、断続的に7発の弾道ミサイルを発射
・すべて日本海に着弾。領海外。
・ミサイルの多くは中距離型のスカッド、ノドン
・うち1発は長距離弾道ミサイルテポドン2号
実は10発?


2006/7/6

○日本と安保理常任理事国、日本の制裁決議案について協議
・中国は独自の議長声明案を提示(国連憲章第7章に基づく部分などを削除
・日米英仏は拘束力のある決議を志向、中ロは拘束力のない議長声明を志向
「安保理15カ国中13カ国が決議に賛成」byボルトン米国連大使
・日本は会合の結果を受け、資金や技術の移転禁止に関する部分の文言を修正
議長声明は法的拘束力がない反面、全会一致の採択により、安保理の結束を誇示できる
・中国も「核開発停止の要求やミサイル発射凍結の再確認など、日本の決議案の重要部分が議長声明に反映されるよう努力する」と表明し、日米の譲歩を要求


2006/7/7

北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化交渉大使、記者会見
・「日本の制裁措置は『言語道断』」等

米中次官級会談
・働きかけ強化で一致
・6カ国協議再開を目指すことでも一致

「関係悪化は北朝鮮の責任。憤りを感じる」安倍長官会見


2006/7/8

中国も圧力
・国家レベルの貿易輸送品(鉄鋼、化学薬品等)に輸送規制
・説得無視に不快感
・市民の受け止め方は冷ややか

ミサイル迎撃、かなりの確率でできた?
ブッシュ大統領、シカゴ市内の記者会見で
・過去の実験では5/10しか成功していない

日米英仏、北朝鮮制裁決議一部修正案を提出
・内容は5日のものとほとんど変わらず
日本の原案を強化北朝鮮へのミサイル関連技術の供与停止だけでなく、北朝鮮からの同技術流出も阻止する条項を加えた」
デンマークギリシャスロバキアの三カ国が共同提案国に加わった

ヒル国務次官補、パン外交通商相等と会談


2006/7/9

○政府内に自衛隊の基地攻撃能力保有論浮上
憲法解釈の概要
安倍長官、麻生外相
額賀長官

麻生外相、李外相と電話協議
・特段の進展なし


2006/7/10

麻生外相、ヒル国務次官補と会談
・事前にライス長官とも電話会談
・局長級での実務者協議も実施

安保理非公式協議
制裁決議案の採決は当面先送り
・中国、議長声明案修正版を提出。一部を除き日本案と内容はほぼ同じ。
・中国は、国連憲章7章への言及、平和への脅威の認定、制裁条項が削除されれば決議でも構わないとの立場。
ロシアも中国案を支持
すべては中朝協議の成果次第


2006/7/11

ヒル国務次官補は再び北京入り
中国訪朝団の帰国待ち

韓国の鄭泰浩(チョン・テホ)報道官、日本の「侵略主義的傾向」に懸念表明
・「『先制攻撃』のような危険、挑発的な暴言で朝鮮半島の危機をさらに増幅させ、軍事大国化の名分にしようとする日本の政治指導者の傲慢に強く対応していく」
盧武鉉大統領以下、政府与党からも強い懸念表明

北朝鮮の親善代表団が北京入り
胡主席、北に自制求める

第19回南北閣僚級会談始まる
・韓国に共同歩調要請
・韓国側は強攻策は採らず


【分析記事等】

テポドン発射とブッシュ政権の実情(7/6春原剛@NETアイ プロの視点)
・十分に計算された試みだった
・ワシントンでの対話拒否派の孤立
・イラン、イラク情勢の足枷、経済制裁が関の山?
・韓国の太陽政策
・日中、日韓関係の悪化
米朝二国間対話の開始を狙う?
・米政権内の北朝鮮通の不在


北朝鮮ミサイル危機で見えたもの(7/4田中宇の国際ニュース解説)
・「北朝鮮は「世界一強いアメリカから国家の存続を認められれば、他の国々など怖くない」と考えて、アメリカとの2国間交渉の成立を最重要課題にしてきた。」
・ミサイル発射前の一連の対米求愛活動
・日本側は米朝会談の実現に前向き?
・直接交渉を拒否してきたイランに対してアメリカは、形式上交渉に合意(5月末)
アメリカからの一層の不可侵の保証を得られないので、韓国との緊張緩和進展すら危険視?
北朝鮮と戦争する気はないアメリ
北朝鮮問題の解決は中国にさせたいアメリ
ミサイル防衛システムは役立たず
選挙対策でより強硬になっている米民主党
・在日、在韓米軍の多くはstill in イラク
・すべてはブッシュ政権の隠れた戦略は「世界の多極化」に帰結?
・チェイニーの謀略?


続・北朝鮮ミサイル危機で見えたもの(7/7田中宇の国際ニュース解説)
・短距離ミサイルについては制約はない。問題になるのは失敗したテポドンのみ。
ウラジオストク港ではブルーリッジが停泊、親善訪問中だった
・台湾もミサイル発射実験を計画?
アメリカは引き続き脅威を低めに評価


北朝鮮ミサイル危機と日本
・日本語メディアと欧米メディアの比較を通して見えるもの
ヒル米朝の代表が6カ国協議の枠内であれば1対1で会合してもよいと発表
・2005年9月、マカオ北朝鮮政府系企業の2400万ドルの口座をアメリカが凍結させた事件
・日本の強硬姿勢も、採決延期受諾も、アメリカの政策に沿ったもの
・中国政府は、制裁によって北朝鮮の首を絞め、朝鮮半島で戦争が起こることを警戒
・英仏は、最終局面で日本提案を軟化させ、中ロの拒否権発動、安保理の崩壊を防ぐために、日本案に賛成?
・強攻策→戦争は解決にならない
・解決は米朝直接交渉か、中国主導の6カ国協議。アメリカのねらいは後者。
・「日本に吠えさせて、中国をけしかける」
・日本がイギリス、イスラエルの二の舞になる危険性


【関連情報】

○2005年9月、6カ国協議の共同声明において、アメリカは北朝鮮に対する不可侵を約束。