日本の総理学
- 作者: 中曽根康弘
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/08/17
- メディア: 新書
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加えて、「命あるかぎり、私はこの国の行く末を問う」とか、
いまのリーダーたちは、なぜか自らの国家についての哲学を国民に語ろうとしません。クラゲのように、背骨のない軟体動物のごとくふわふわと浮遊しているのが私には気がかりでなりません。(中略)現代は物事を判断する価値基準が失われています。アメリカニズムももはや頼るべき価値体系とは言えないのです。そうだとすれば、拠って立つ軸は私たちでつくり上げていかなければなりません。歴史の中から「国家、社会、人間はこうあるべきだ」といった原則をリーダー自らが獲得していくしかないのです。
といった帯に書かれた魅力的な文章。
ついつい惹かれてコスタメサの三省堂で衝動買いしてしまいました。
しかし、新書という形態に何もかも入れ込みすぎたのか、驚くほど内容がありません。総花的で、ほとんどの項目の記述が薄く、ハッとさせられるような洞察も、奮いたたされるような志も、いずれも伝わってこないままに読み終わってしまいました。大変残念です。
アメリカによるイラク戦争の評価(著者は相当の自信をもってポジティブに評価しています)についても相当僕自身の見方と異なっているので、是非深くその考えに触れてみたいと思ったりもするのですが、如何せん記述が薄すぎて、そう論じる根拠も不十分だったり、納得できるレベルではなかったりします。
国家論、憲法改正論、安全保障論、教育論、リーダー論、と幅広く論じられているのですが、すべてにわたって満足できる深みがありません。新書だからしょうがないのかもしれませんが、期待していただけに残念。