「個」を見つめるダイアローグ

「個」を見つめるダイアローグ

「個」を見つめるダイアローグ

村上龍は僕の最も敬愛する作家です。それほど他の文学は読んでいませんが、村上文学が自分にとって最も面白く、刺激を受け、学びの多い作品群であることは間違いありません。また、彼の警世的発言から汲み取れる日本を愛してやまない気持ちや、その目の付け所には大いに刺激を受けます。


伊藤穣一氏も友人がネオテニーで働いていた頃に彼から話を聞いたり、メディアを通してその活躍を目にしていました。


というわけで、この対談はそのタイトルも含め、ボクにとっては非常に刺激的で、楽しみでしょうがない一冊であったわけです。


などと書くと、「あ、イマイチだったんだ」と勘づかれてしまうと思いますが、多分、結論から言うとそう感じてしまったのだと思います。もちろん、悪い作品ではまったくないのですが、おそらく、「新たな刺激」「斬新な村上節」を期待していたために、ほとんどが「想定の範囲内」だったということで多少残念な気持ちを抱いてしまったのでしょう。彼の作品やJMMをよく読んでいる人には物足りないのではないでしょうか。


また、特にメディア論やIT、ウェブに関する議論は非常に浅いもので、後で紹介しますが、梅田望夫氏の『ウェブ進化論』などと比べると、本書の該当箇所には何も新しい視点も斬新な切り口もなく、見劣りしてしまいます。


というわけで、まだ村上作品群にあまり触れたことのない人にだけオススメします。