社員に発電機を組み込む

Frederick Herzbergの古典的論文、「モチベーションとは何か」 ("One More Time: How Do You Motivate Your Employees?")を読みました。かなり目からウロコでした。


モチベーション、というよく使われる言葉について、これまで何となく「行動に向かわせる心のエネルギー」くらいのイメージでしか捉えていませんでした。したがって、コーチングの手法や組織設計によって、「モチベーションを高める」=「部下や社員のエネルギーを高める」という形で理解していました。


しかし、Herzberg教授によれば、それは「充電、再充電を繰り返しているだけであり、モチベーションを高めることにはならない」とのこと。ではモチベーションを高めるというのはどういうことか。彼によれば、「社員に発電機を組み込む」ことなのだそうです。


なるほど!


単にエネルギーを高めるということではなく、社員の自発性、自主性を引き出していくことが動機づけのプロセスなのだということを初めて理解しました。これはまさにコーチングの核心でもあり、したがって、コーチングは動機づけのプロセスであるとも言えるかもしれません。


この論文は1968年のもので、HBRでも100万部以上リプリントが売れているもので、この領域では相当程度影響力を持っている(持っていた)理論であるようです。したがって、他のモチベーション、動機づけ関連の論文もチェックしていきますが、このような捉え方は彼の特殊な見方ではないはずです。非常に基本的なコンセプトを今更ながら学べた気がします。


ちなみに、同論文には他にもKITAによる動機づけ、動機づけ要因motivator衛生要因hygiene factorsの二要因論、仕事の充実化job enrichmentと仕事の拡大job enlargement、水平的職務負荷horizontal job loadingと垂直的職務負荷vertical job loading等、有用なコンセプトが紹介されています。ダイヤモンド社から発刊されているHBRのアンソロジー『動機づける力』に所収されていますので、興味がある方はどうぞ。