ステップ⑥ 短期的な成果の重要性 -企業変革力(8)-
- 作者: ジョン・P.コッター,John P. Kotter,梅津祐良
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2002/04/13
- メディア: 単行本
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大規模な変革を遂行するためには長い期間が必要であるが、その間、多くの人は変革が成果を生んだという明確な証拠を見たいと願うものである。また、変革を信じていない人は、成果の証明がさらにはっきりと示されることを求める。このような人々の期待、懐疑心に対しては、短期的な明確な成果をあげることが必要かつ効果的である。
変革の第六段階で必要とされる短期的成果の特徴・要件
①はっきりと眼に見えること。ごまかしではなく、実際の成果であること。
②議論の余地がないほどに具体的であること。
③全体の変革の方向性に明確に関連づけられていること。
短期的成果のもたらすもの
①変革のために投じる自己犠牲が価値を生むのだという証拠を示し、モチベーションを高める。
②変革の推進者たちに報い(勝利を祝う機会)としばしのゆとりを与える。
③推進者は、短期的成果を生むプロセスを通じ、変革のビジョンと戦略を企業の実情に照らしてテストすることができる。
④素早く業績向上の証拠を示すことにより、批判勢力や自己本位の変革反対者の勢いを削ぐことができる。
⑤変革が進んでいる証拠を示すことにより、経営陣からの重要なサポートを維持することができる。
⑥変革の勢いを増すことができる。傍観者が支援者に、消極的な支援者が積極的な支援者に変わる。
短期的な成果は、運良く実現されるものでも、自然に達成されるものでもない。しっかり計画し、計画に沿って組織を作り上げ、着実に計画を実施していって初めて生まれるものである。このプロセスでは、リーダーシップだけでなく、マネジメントの役割も大である。企業変革は単にリーダーシップのみを必要とするプロセスではなく、優れたマネジメントも不可欠の要件なのである。特に、変革を始めるカリスマ的リーダーは、マネジメントの重要性が理解できていないこともある。