政治システムの違い

日本政府、フランスとの通商関係を断絶、風刺漫画に抗議

日本の二階経産相は6日、フランスとの通商関係を7日に断絶すると述べた。フランスを皮切りに欧州各紙が日本国開祖神武天皇の風刺漫画を掲載したのに抗議するため。日本と欧州諸国の対立が本格的な経済問題に発展してきた。

経産相はさらに、フランス系企業との契約を破棄、商談を中断するように日本企業に命令するとも表明した。また、フランス国旗を掲げた船舶の入港を禁じ、国旗を掲げないフランス国籍の船舶が入港する際には高額の港湾使用料を課す方針だ。

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なんてことはこの国ではあり得ないわけですが、政治と宗教が一致した国では起こりうるわけです。ここ最近興味深く見守っていたデンマークムハンマド風刺漫画事件ですが、ついにイランとデンマークの通商関係断絶にまで至ったようです。

イラン、デンマークとの通商関係を断絶、風刺漫画に抗議

改めて思うのは、ほんとに国によって政治システムが全く異なるんだな、という事実。誤解されるとあれなので先に書きますが、一部の国のシステムを批判しているわけではなく、違いについて改めて思いを致しているだけです。

一私企業たる新聞社が掲載した風刺漫画を取り上げて、通商関係の断絶という国家的行為に出るのは、メディアを政府がコントロールしている国家ならではの発想だと思います。彼らにとっては、一メディアの意見=国全体の意見、に見えるわけで、一メディアが不謹慎なことを言おうものなら、それは国が不謹慎なことを考えているように見えるわけで、国民がその国の製品のボイコットをしたり、国が通商関係の断絶にまで至っても全くおかしくはないのでしょう。「国対国」「文化対文化」並の感覚を持っているかも知れません。

個人的にはデンマーク誌の風刺漫画は、人にとってあまりに大切な偶像を手ひどく茶化して楽しんでいる感じがあってあまり擁護する気にもなりませんが、ここまで過激に反応するのもちょっとなあ、という気がしてしまうのも否定できません。今核問題で世界的に孤立しつつある中で余計にイラン国内でナショナリズムが高まっているというのもあるのかもしれませんね。

また、「デンマーク企業との契約を破棄、商談を中断する」とも記事にありますが、イランってすべて国営企業なんでしたっけ!?あるいは通商関係についてはすべて政府がコントロールしているのか。その辺詳しくないですが、明らかに日本とは違うシステムですね。

ついでに思い出したましたが、よく一部の漫画(多分ゴー宣)や文芸作品、ネット等でのやや「右」的な盛り上がりを持って「帝国主義の再来だ。けしからん。国の力で抑えろ」などと中国政府がまじめに言ってくることがありますが、あれも同じように自国ではメディアをコントロールしているからこそ同じ目で日本を見ているわけですよね。まあ、中国の場合は理解した上で単純に政治的に利用しているだけのような気もしますけども。

そういう日本も、かつては冒頭のような記事がマジモノになってしまう国だったのかと思うとなかなかぞっとします。

まとまりもなく書きましたが、やっぱ国の違い、文化の違いって大きいんだな、と再認識したというお話でした。